センターニュースN0.46

(発行・2001/4/15)「電話相談を受けて」より転載

妊娠の防止について

強姦の身体的被害に妊娠があります。
被害後、妊娠していないことがわかるまでの精神的苦痛は甚大なものですし、妊娠してしまった場合には更なる苦痛を負わされます。
今まで私たちは、妊娠してしまったら、それを中断させるには中絶しかないと思っていました。しかし、こうした事態に対して妊娠を防止する方法が知られてきました。被害後72時間(3日)以内であれば緊急避妊ピルを、用法に従って服用します。緊急避妊ピルとは、現在一般に処方されている経口避妊薬(ピル)と同様のホルモン剤です。ただし、飲む時期や量など、使い方が異なります。

妊娠防止の作用は、服用が月経周期のどの時期にあたるかによって異なります。服用時期により例えば、排卵を抑制する、受精を妨げる、子宮への受精卵の着床を妨げるなどの作用をもたらし、妊娠の成立を阻止します。妊娠防止率は、正確に使用した場合でおよそ98%と言われています。(別の資料でこれより低い数字もあります。)

緊急避妊を目的とする緊急避妊薬(モーニング・アフター・ピル。商品例=プリベン)は日本では未認可のため一般には手に入りません。他に、中・低容量ピルを、量の調節で緊急避妊ピルとして処方してもらう方法があります。いずれにしても日本ではこの緊急避妊を扱う医療機関は限られていますので、予め問い合わせが必要です。(情報はセンターでも提供できます。)実際の服用にあたってはいくつかの知っておくべき注意点もあります。インターネットなどで、緊急避妊薬に関する詳しい情報を得ることも可能です。

被害後、72時間が過ぎてしまった場合、緊急避妊ピルによる妊娠防止はできません。他の方法として、出産や人工妊娠中絶を経験している人であれば、被害後5日以内に、子宮に避妊リングを入れることで受精卵の着床を防ぐ方法があります。

アメリカFDA(食品医薬品局)は1998年10月に緊急避妊用キット(①説明書②妊娠検査薬③ピルのセット)を認可しています。フランスでは1999年6月、イギリスでは2000年12月に緊急避妊薬の処方箋なしの販売が始まっています。日本でも被害を受けている女性たちの現実に即した医療行政が望まれます。

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